糖尿病への取り組み

糖尿病は生活習慣病の代表格として扱われ、糖尿病=不摂生と考えられがちです。しかし糖尿病を発症された方がとりわけ不摂生な生活をしていたかというと実際はそうでもない場合に数多く遭遇します。

糖尿病の患者様の多くは生活習慣の影響も当然ありますが、糖尿病になりやすい体質の影響が大きいと当院では考えています。従って不摂生を改めるのではなく、先ずはご自身の体質に合ったライフスタイルに変えるという姿勢で治療に臨んでいただきます。

治療法を決定していくにあたっては先ずは患者様の実際のライフスタイルや糖尿病に対する考え方をしっかりお聞きします。一方で糖尿病専門医として患者様の病態を把握し、ご説明します。血糖が上昇する原因はインスリンという、すい臓から分泌されるホルモンが不足しているか効きが悪いかの何れかに起因します。これらを全て考慮したうえで最適と考えられる治療法を決定します。また血糖コントロールを良好にすることのみでなく、如何にしてすい臓に負担をかけないようにするかを重要と考えています。

入院が望ましい方は病診連携協力機関である高度先進医療施設にご紹介いたします。 またお仕事などが多忙で入院が不可能な方は積極的に外来にてインスリン治療を導入します。

糖尿病を良好にコントロールする目的は合併症の出現や進行を防止するためです。糖尿病の合併症は大きく細小血管障害と大血管障害に分類されます。

前者は3大合併症といわれる糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害を示し主として糖尿病のコントロールの是非がその進行に影響します。

後者は糖尿病に加え高血圧症、脂質異常症(高コレステロール血症・高中性脂肪血症)や喫煙、肥満、年齢さらには遺伝因子が複合的に原因となります。全身の太い動脈硬化が進行するため脳梗塞、虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症といわれる足の動脈硬化を発症します。これらの定期的な検索およびご自身に把握していただくためのご説明を重視します。

血糖コントロールの検査

当院では血糖値及び血糖コントロールの指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)を診療前に院内で迅速に検査します。

グリコヘモグロビン/グルコース分析装置
グリコヘモグロビン/グルコース分析装置:HbA1c(HPLC法)とグルコース(電極法)の値をリアルタイムで測定します。

合併症検査について

糖尿病は3大合併症に加え大血管障害とよばれる虚血性心疾患、脳血管疾患や閉塞性動脈硬化症(足の動脈硬化)の発症を予防することが重要です。これらは高血圧症や脂質異常症さらにはヘビースモーカーの方も同様です。当院では心電図に加え頚動脈エコーや baPWV/ABI(血圧脈波検査装置)を施行し動脈硬化性疾患のリスク判定を行います。高リスクの方は無症状であっても専門機関にご紹介の上、脳梗塞や虚血性心疾患の鑑別を行います。

頸動脈エコー

baPWV/ABI(血圧脈波検査装置)

頚動脈エコー
動脈硬化によって肥厚する頚動脈の内膜中膜複合体(IMT)をエコー検査にて測定します。
baPWV/ABI(血圧脈波検査装置)
血管のしなやかさ、硬さを検索する検査。